2012年5月13日日曜日

鳥類とヒトの主な共通感染症


鳥類とヒトの主な共通感染症

オーム病
 今までに鳥類でオーム病が報告されているものは大型オーム、セキセイインコ等であるが、オーム・インコ類に限らずジュウシマツ、ブンチョウ、カナリア、ハト、ニワトリでも知られている。鳥の症状は外からわかる症状は激しい下痢、肺炎、脳炎である。ヒトの症状は風邪に似た症状当初は悪寒・頭痛・発熱やがて急性気管支炎、気管支肺炎へと進行する。
 ヒトへの感染経路は日本ではセキセイインコからが最も多い。ヒトからヒトへ感染は通常起こらない。病原体(Chlamydia psittaci)は鳥の消化器粘膜で増殖し、糞便と共に排泄される。乾燥した糞便を吸入する事で感染する。小鳥では比較的容易に耐過して保菌鳥となる。
鳥の体調が悪かったりストレスを受けているときには病原体を排出しやすいので、野鳥を自宅に連れ帰ることは大変危険である。


犬の咳

ニューカッスル病
 ニワトリ、七面鳥、ハト、アヒル、ガチョウ、その他多くの鳥類に発生する。
特に水禽類では不顕性感染(症状は示さないが体内でウイルスが増殖している)が多い。
アジア型とアメリカ型がある。アジア型(胃腸炎型) 食欲廃絶、沈鬱、悪寒、粘稠な緑色便、起立不能、痙攣やがて死。アメリカ型(肺脳炎型)病原性弱い。緑色便を排し、開口呼吸、クシャミ、ラッセル(呼吸に一致してプチプチ喉が鳴る)。
ヒトの症状  結膜炎、インフルエンザ様疾患、耳下腺炎。1〜2週間で治癒。
ヒトへの感染は直接眼に入ることで成立。経口感染はしない。

サルモネラ感染症 
 鳥では、見かけ上健康なもの(保菌鳥)から急性の全身感染まで種々の症状。
ヒトへのは鳥の糞便が経口的に侵入して感染。食中毒様の胃腸症状

エルシニア症(仮性結核)
 鳥では、見かけ上健康なもの(保菌鳥)から急性の全身感染まで種々の症状。ヒトへは鳥や齧歯類の糞便によって食物が汚染され、経口的に侵入して感染。食中毒様の胃腸症状(嘔吐・下痢)

結核(マイコバクテリウム症)
 鳥では皮膚の肉芽腫様病変、体重減少、肝腫大、突然死。ヒトには主に経口摂取で感染成立。時に皮膚に刷り込まれて皮膚病変を作る。免疫抑制状態の個体は特に感受性が高い。


猫と嘔吐のために薬草

吸血性ダニ(Dermanyssus gallinae)
1 ワクモ
鳥ではニワトリ、ハト、スズメに普通に見られる。多数寄生の時は発育阻害、体重減少、貧血が見られ、時に死ぬこともある。ヒトへは主に接触感染以外に、夜間鳥の体温を慕って俳諧するダニがヒトを吸血する。特に子供に好発し、痒感の強い皮膚炎を起こす。
2 ツツガムシ科のダニ
3 ナキンムシ科のダニ
いずれもヒトを吸血する。
特に吸血時に体内に保有するウイルスがヒトの体内に侵入してウイルス感染症を引き起こすので、公衆衛生上看過出来ない。次に今まで報告されている人への感染のおそれのあるウイルス病を列記する。


黄熱病、パナマ運河
  1. ベネズエラ馬脳炎  ヒトに脳炎
  2. 東部馬脳炎     ヒトに脳炎、鳥(キジ)に脳炎、多くの野鳥がウイルスを保有。
  3. 西部馬脳炎     ヒトに脳炎、エゾライチョウ、スズメ、ムクドリ、ブルーゼイがウイルスを保有
  4. ilheus       ヒトに脳炎、野鳥からウイルス分離されたことがある。
  5. 日本脳炎      ヒトに脳炎、我が国では普通に見られ、豚から蚊が媒介。
  6. マレー谷脳炎    ヒトに脳炎、野鳥がウイルス保有。
  7. セントルイス脳炎  ヒトに脳炎、野鳥がウイルス保有。
  8. West Nile病     ヒトに発熱・頭痛・発疹 野鳥がウイルス保有。

すべて蚊によって媒介されるが、ダニによる吸血時の感染も否定されていない。しかし日本脳炎以外は日本で報告がない。


そのほかに感染症以外にアレルギーに関する注意が必要である。鳥の糞便・羽毛にアレルギーを獲得して、呼吸困難・咳・間歇性の発熱を引き起こす。最も肝要なことはこれらの症状が見られる人を原因物質から遠ざけることである。以上現在手に入る資料から鳥からの人畜共通感染症を挙げてみた。しかし、開発が密林の奥地に進むに連れて未知の多くのウイルス病がヒトをおそっている。そのよい例がHIV(ヒトエイズ)である。アフリカのある国では国家存亡の危機にまで国民広く本病に犯されている。またエボラ出血熱のように局所的に爆発的に発生する極めて死亡率の高いウイルス性疾患もよく報道されている。従って野鳥を取り扱うヒトはすべての野鳥は病原体を持っていると考えて万全な防護体制を取るべきである。

1 使い捨ての帽子、マスク、ゴーグル、つなぎの上着とズボン, ゴム手袋、腕カバー、靴カバーあるいはスパッツ等で全身を覆い、 露出している体表部がないようにすべきである。使用後はビニール袋に入れ、漂白剤をスプレイしてから袋を閉じ、そのまま焼却すべきである。


2 捕獲した野鳥は生死に関わらず絶対自宅に持ち帰らない。たとえ羽毛・糞便といえども持ち帰らない。。特に容易に捕獲された鳥は要注意である。体調が悪い鳥は病原体を排出しやすい。また飼育に置かれると激しいストレスのために病原体の排出が増えることが確認されている。鳥自体が種々の病原体を保有していると同時に、鳥に付いているダニ類がウイルスを保有している可能性が大いにある。

3 鳥と接触した可能性のある種々の用具類、例えば鳥袋、ノギス、脚環の装着道具類は現場で10倍の水で希釈した高濃度の塩素系漂白剤をスプレイで噴霧してビニール袋に入れて持ち帰る。この時も漂白剤をヒトが吸引しないように留意すること。



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